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ありがとうございました! 2004年05月11日(火)

Running Musical 「645 〜 Taika-no-Kaishin」は皆様のおかげを持ちまして、無事に千秋楽を迎えることが出来ました。大きな怪我や事故もなく、無事にこの日が迎えられ、とにかく今ほっとしています。30余名の役者の皆さん、ほぼ同数のスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。そして御来場くださった皆さん、本当に本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。


今回の作品は、大化の改新−−すなわち中大兄皇子や中臣鎌足らが当時権勢を振るっていた蘇我蝦夷・入鹿親子を暗殺した、いわゆる日本で最初のクーデターをミュージカル化したものですが、一つだけ史実に基づかない設定がありました。それはクーデターを起こす側の中臣鎌足と暗殺される側の蘇我入鹿が瓜二つだったら・・・・というもの。原作のウォーリー木下氏は面白い発想をなさったものです。でもこの仮説のおかげで、この作品は予想出来ないようなストーリー展開をするわけです。詳細は割愛させて頂きますね。

さらに未来という少女(占い師)と中大兄皇子によるストーリーや皇極天皇(中大兄皇子の母)と万葉三姉妹、蘇我蝦夷と入鹿、盗賊の影と鏡(と未来)、その他にもカッツ・ナガイ・テツガク・偽聖徳太子・額田王ほか多くの登場人物によるストーリーが絡み合って、物語は進んでいきます。
が、それらをここで解説するのは僕の文才では不可能です。ごめんなさい。

そんな様々な人間模様のミュージカルを盛り立ててくれる、まさにこのミュージカルの主役とも言うべきアンサンブルの演技。あるときは森の木々の生命を表現し、あるときはパラグライダーという人造物を表現し、そしてあるときは激しい水流であったり、痛みを忘れた未来の心に感応する井戸であったり・・・・。シンプルな舞台装置の中で人間があらゆる情景を作り出すという、まさに演者の表現力と観客の想像力をもって完成する舞台だったと思います。2度、3度と観ていくうちに毎回新しい発見がある、そんな作品だったではないでしょうか。


まだあの瞬間が鮮明に蘇ってきます−−−千秋楽、最後のカーテンコール。客席だけでは入りきらず、通路や階段、舞台のすぐ前まですべて埋め尽くした補助席。お客様でいっぱいになった客席から、3回目のカーテンコールだというのに割れんばかりの拍手。まさに役者冥利に尽きる瞬間でした。−−−あれから2日経ちました。もう1週間以上経ったような気もします。が、僕の中では、実はまだ終わっていません。というのが今の正直な心境です。終わったという実感がまだ沸いてこないというか・・・。「無頼の女房」の時とはまったく違う感覚です。自分でもよく分かりません。ある種の放心状態というのか。


自分のことはひとまず置いといて、とにかくお礼を言わせてください。5月6日(木)から9日(日)までの長くもあり短くもあった4日間の6ステージ、1,600名にも及ばんとする多くのお客様にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。何ヶ月にも渡って稽古してきた作品ですから、一人でも多くのお客様に観て頂きたい、そして楽しんで頂きたい、そんな思いですべてのステージを全力で演じました。

また、稽古期間中には激励のお手紙を多数頂きました。僕の体を気遣ってくださる内容がほとんどでしたが、中には「645」をどのような思いで楽しみにしているかとか、役者の生の演技が観られる事をいかに楽しみにしているかなどを書いてくださった方もたくさんいらっしゃいました。チケットを購入してから本番の日が近づくに従って楽しみがどんどん膨らんでいく、そんな皆さんの熱い期待を裏切らないよう、そして出来ればもう一度観てみたいと思ってもらえるよう、今の自分に出来ることをやり尽くすべく本番に臨みました。

終演後は全ステージ、オルゴールCDの売り子をやらせて頂きまして、ほんの一瞬ではありましたが、皆さんお一人お一人と接することが出来、本当に幸せでした。たくさんの励ましのお言葉を頂戴しました。それに花束やプレゼントやお手紙までも。本当はすべて開封してから小部屋を更新しようと思っていたのですが、まだかなり時間がかかりそうなので。お礼状は後日改めて。


この場を借りてお詫びを。皆さんと接するのが終演直後ということもあって、心身ともに普段とは違う状態だったことで、いろいろと配慮に欠いた言動があったかもしれません。極力注意していたつもりではありますが、失礼の段、どうかお許しください。それから毎回売り場で「しまった!」と思ったのは、しっかり手を洗わずに売り子に出てしまった事です。とにかく時間(昼は次の公演の準備、夜は退出時間)が気になっていたので、衣装を脱いで私服を着て、ワイヤレスマイクを返却して、ほとんどそのまま駆け足で売り場に直行していました。そのため手を洗うのを忘れて、汗まみれの手で握手してしまいました。本当に申し訳ありませんでした。他にも不快な思いをさせてしまったかもしれません。もしお気づきの点がありましたらお手紙にてお知らせください。改めてお詫びすると共に、今後に役立たせて頂きたいと思います。


さて、うるさいほど宣伝したオルゴールCDですが、おかげさまでほぼ完売しました。でもなんとか売り切れずに持ち堪えてくれて良かったです(笑)。役者たち(5人組、万葉三姉妹、偽聖徳太子&入鹿)のブロマイド(4枚組×7種類、各300円)は初日は売切れてしまいましたが、2日目以降は大丈夫だったようですね。ただ千秋楽限定のサイン付きブロマイドはすぐに売り切れてしまったようで。ごめんなさい。本物のオルゴールは先日書いたようにあっという間でした。入手された方、おめでとうございました。今回はいろいろとグッズを販売しましたが予想以上に好評でした。お買い上げ頂きどうもありがとうございました。これらのグッズが「645」の思い出の一つになってくれたら幸いです。


最後になりましたが、今回の作品「645」はいかがでしたでしょうか?既にご感想のお手紙をくださった方もいらっしゃって拝読致しましたが、人によってこれほど感じ方が違うものなのかと大変驚かされました。この作品を通して皆さんがどうお感じになったか、是非お聞かせくださいね。楽しみに待っています。

ここまで書いている間もずっと考えていたのですが、残念ながらまだ頭の整理がつきません。でも一つだけ間違いなく言えることは、今回、蘇我入鹿&中臣鎌足という二役を演じたことは、役者である自分にとって非常に大きなかつ貴重な経験であったということです。今はあらゆる意味において達成感よりも未達成感の方が大きいのですが、この思いは必ず次の役を演ずる時に昇華してやりたいと決意しています。

嵐のような怒涛の4日間が目の前を通過していきました。その追い風を感じる頃、ようやく「645は終わったんだ。」と自分の中で実感することが出来るのかもしれません。
いまはまだ、夢のようで・・・・。



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