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アニメ「テニスの王子様」最終回スペシャル 2005年04月29日(金)その1

さて、続きです。「え?何の続き?」という方は、前回の日記をご覧ください!読むの大変だけど(笑)というわけで、楽屋に戻ってきた4人。まずは「お疲れ様でした」の握手!もうみんな気持ちのいい笑顔でした!せっかくの記念だからと撮影したのがあの写真ですPhotoの4月1日(金)の写真。拡大写真は諏訪部氏の公式サイトをご覧ください!)。さらに楠田は氷帝ポロ姿を自分の携帯でも撮って貰いました。御存知、鶴岡氏による撮影です。全部で3枚撮ってくれたので、3枚目の秘蔵写真をここに貼っておきましょう(笑)。


秘蔵写真!? ちょっとおどけた感じ

「さて、これで落ち着けるかな」と思いきや、そうは問屋がなんとやら!え!? 声優グランプリさんの取材が始まるとのこと。みんな急いで氷帝ユニから私服バージョンに着替えて、まずは写真撮影です。ものすごい枚数撮りました。でも使われるのは多分1枚?もったいないですねぇ!インタビュー取材の前に、ここでちょっと休憩タイム。各々着替えた後、諏訪部氏から「サプライズで贈られたバースディケーキをみんなで食べよう」と提案があり、なんと諏訪部氏自ら切り分ける!僕からも、「みなさんでどうぞ。」と差し入れて頂いた「なめらかプリン」をみんなで戴くことに。


切り分けられ中のケーキ

差し入れて頂いた「なめらかプリン」

そうこうしていたら、あと数分でアニメ「テニスの王子様」最終回スペシャルの開始時間に。と、そんないいタイミングで声優グランプリさんからインタビュー取材を始めたいとのこと。声優グランプリさんの配慮(?)で、みんなでテレビを囲んでインタビューという異例のスタイルで取材が始まりました。果たしてちゃんと取材に集中できるのか!?

取材が始まって間もなく、テレビからはオープニング曲が!心の中では「とうとう始まった・・・。」でも顔はインタビュアーさんを見て。って、辛いよ〜!(笑)最終回スペシャルは1時間で、177話と178話の2話分を一挙放送です。僕たち氷帝学園メンバーが出演しているのは、177話の方。177話のBパート(後半)の冒頭5分間くらいですね。インタビューは続きます。みんな自分が答え終わると、すぐにテレビ画面に注目って感じ。でもちゃんと真面目に答えてるんですよ。さっきまでやっていた「プチ氷帝祭」の感想から始まり・・・・まぁ、内容に関しては実際に声優グランプリを読むまでのお楽しみってことで。

インタビューも中盤に差し掛かったところで177話Aパート(前半)が終わりCMに突入。するとテレビから諏訪部氏の声と共に、実写の諏訪部氏が!僕は以前このCMを見たことがあったのですが、木内氏は初めてだったらしく、えらい勢いで驚く!そして僕は、ものすごく不思議な気分に・・・・画面から聴こえるのは諏訪部氏の声。でも隣から聴こえるのも諏訪部氏の声。ははは!すげ〜!しかも実写だー!みたいな。そんなことでみんなで盛り上がって、全然取材どころじゃない!(笑)

続いてCM明け・・・・榊監督の声が聴こえて、続いて日吉が練習中、そして宍戸の・・・・・ 「よう若、頑張ってるな!」です。もうみんな画面に釘付け!そりゃ、仕方ないよねぇ、自分たちの演技だもん。このシーンこそ、昨年10月の週刊「少年ジャンプ」に掲載された「氷帝狂詩曲(ラプソディ)」です!関東大会で青学に負けた氷帝学園が、開催地枠推薦で奇跡の全国大会復活となった、あのストーリーです。ここ1年以上もオリジナルストーリーが続いたアニプリでしたが、最後の最後に来て、この「氷帝狂詩曲」だけは原作の通り作ってくださいました!もう僕ね、昨年10月のケッケフェスタの時も言ったけど、このシーン絶対に演じたかったんですよ!だから台本を頂いた時にはもう本当に嬉しくて嬉しくてね。あまりの嬉しさに台本読みながら、ニヤけてたはず、きっと(笑)。それほど演じたかったんですよ!だからこのシーンの宍戸の最後のセリフさ、

「おい跡部!俺たちも全国に行けるぜ!!」

ってこのセリフ、心の底から嬉しかった。きっと、台本に表現されている以外のいろんな喜びがこのセリフに込められています。役者としてそれはどうかとも思いますが、でもその喜びは抑えられませんでした。テニスの王子様に出演させて頂けた喜び、宍戸に出会えた喜び、多くの共演者の皆さんと知り合えた喜び、宍戸が多くの制作スタッフの皆さんに愛されていた喜び、そして許斐先生がこの「氷帝狂詩曲」を描いてくださって、このシーンを演じることが出来た喜び・・・・。本当にありがとうございました。

この5分間は取材を中断してくださったので、しっかりと見届けることが出来ました。ふと177話の収録時のことを思い出しました。僕以外の男性の役者さんが全員で「宍戸先輩、ちぃーっす!」ってやってくださって、すごいくすぐったい思いをした(実は「宍戸先輩」って非常に言い難い単語なんです。申し訳ない。)とか、氷帝登場シーンのテストと本番の間の時間に、皆川さんが「宍戸っていい人になったよね・・・・」って僕にしみじみ言ってくれたこととか、収録終了後に翌週収録される178話の内容を、既に台本を受け取っていたカチロー役の中川玲さんから聴いて、それだけで目頭が熱くなったりだとか、そのあとアニメディアさんの取材があって、集合写真に呼んで頂いたとか・・・・思い出深い177話の収録でした。2月17日(木)のPhotoは、実は「テニスの王子様」の収録スタジオの写真です。ここで初めてアニメのセリフを喋り、数々の試合を演じ、長太郎との信頼関係を培ってきた、僕にとっては一生忘れることの出来ないスタジオです。最近もここで別の作品の収録をしたのですが、行くだけでほっと出来る、心のふるさとのような場所なんです。そんな思いが一瞬にして頭を過ぎり、ひとり感傷に浸っていました。

取材の方はその後も続き、一方アニメはいよいよ最終話、178話に突入。さすがに取材に集中していましたので、アニメのストーリーはちゃんとは追えませんでした。でもしばらくして取材は終わり、今度はみんなでテレビに集中です。そして僕が話を聴いただけで目頭が熱くなったあのシーンを観ることに。皆さんもきっと同じ想いでご覧になったことでしょう。リョーマが先輩一人一人の技を繰り出しながら、「ありがとうございましたー!!」とお礼を叫ぶあのシーン。今も思い出すと涙がじわぁと出てきます。リョーマの、いや皆川さんの心の叫びです。この3年半を全力でリョーマに打ち込んできた人だから、あのセリフが本物なんです。視聴者の心を打つんです。まだ終わって欲しくないと、すべての関係者が思ったんです。

皆川さん、本当にお疲れ様でした。思い起こせばもう3年も前の話になりますが、初めて宍戸が出演した収録の日、AパートとBパートの間の休憩時間、皆川さんが気さくに声を掛けてくださったんです。決して改まったという感じではなくて、でも気遣いのあるとても温かい言葉で。僕にとっては緊張だけの収録現場でしたから、その言葉が本当に嬉しかった。「あぁ、この人が主人公の声を当てているんだ。」ってしみじみ思いました。テニスの王子様の収録現場が、他のどの現場よりも仲が良いと、スタッフの皆さんが口を揃えて言うのは、やはりこの皆川さんの人柄あっての事なんですよ。そこに集まった人たちはみんな、共演者もスタッフさんも許斐先生も含めて、みんなが家族のように、時にはクラスメイトのように、それがひとつの大きな制作集団となっていたと思うんです。だからこれほどの作品が生まれたんだと思うんです。そんな作品に携われたことが、僕にとっては一生の宝です。

最終回スペシャルのオンエアが終わりました。楽屋にいた僕たち役者、松井プロデューサーさん、イベントに関わってくださったすべてのスタッフさん、各マネージャーの皆さん、全員が自然に拍手をしていました。そして「お疲れ様でした!」とお互いを讃え合いました。「なんて気持ちのいい、清々しい終わり方だろう。」素直にそう思いました。終わりと言っても、寂しい終わりという感じじゃなくて、「次は何が起こるんだろう?」っていう、楽しみというか期待感の残る最終回だったと思いました。きっとそれは、一緒に演じてきた共演者がそこにいてくれたから、なのかもしれません。だってさ、3人の顔を見てたら、希望が湧いて来たんだよ。本当に、心の絆の力って強いね。信じる力って偉大だよね。みんなで一緒に観ることが出来て本当によかった。

そんな感動に浸りつつ、津田ホールを後にしました。当日、イベントに参加してくださった皆さんのほとんどは、リアルタイムで最終回スペシャルを観ることは出来なかったと思います。僕らだけ観てしまってゴメンね。ちゃんとビデオで観られたでしょうか?僕も帰宅してから再びじっくりと観直しました。取材を受けながらチラチラ観ていたとはいえ、やっぱり集中して観たかったからね。一人で観るとまた感慨が違うものです。その様子は語るまでもなく、皆さんと同じだったと思います。


「プチ氷帝祭」のお話は一応語り尽くしたと思うので、ここからはアニメ「テニスの王子様」に絞って、あと少しだけ書きたいと思います。

今までにそこらじゅうで何度も言ってきましたが、僕にとって「テニスの王子様」はアニメ初出演作品です。だから本当に思い入れが強いんです。今後も僕は様々なアニメ作品に出演させて頂くこともあろうかと思いますが(というか、そうならなくては!)、いろんな意味で、この「テニスの王子様」がすべての基準になると思うんです。キャラクターの演じ方、収録現場の雰囲気、役者さんやスタッフさんとの関係などなど。特にキャラクターについては、僕の中における宍戸の存在というのは非常に大きくて、別のキャラクターを演じる時もつい宍戸を基準に、「宍戸より言葉が丁寧だ」とか、「宍戸より気性が荒くない」とか、「宍戸より大人っぽい」などというように、つい考えてしまいます。これが良いことなのか、悪いことなのかはよく分かりませんが、新しいキャラクターを具体的なイメージとして掴みやすいのは確かなんですよ。どちらにしても僕と宍戸との付き合いは、まだまだ続きそうで、嬉しいです。

アニプリをやって、アニメ以外で特に思い出深いのはキャラクター・ソングとゲームです。キャラソン「Brandnew days」は宍戸&鳳のデュエットソングでした。どのような形であれ、僕にとっては記念すべきCDデビュー作品。もともと歌手になりたくて演技の勉強を始めた僕なので、その夢を叶えられたという喜びは本当に大きくて。この歌は何度歌ってもいいです。正直言うと、まだ自分としては歌い切れていません。もっと表現できると思っています。だからまだまだ歌っていきたいです!

それから、ゲーム。コナミさんには本当にお世話になりました!ゲームタイトルもたくさん出ましたよね。とは言っても1タイトル当たりの収録は1回(歌があると計2回ですが)なのに、毎回本当に楽しく収録させて頂きました。ゲームの宍戸って、厳密にはアニメの宍戸とキャラクターがちょっと違うんですよ。アニメの宍戸の方が身内以外に厳しいというか、クールというか、淡白というか(でも不思議と、アニメでも大石とは気が合っていたようですね)。だからゲームの時にはいろんなキャラクターと絡めて楽しかったです(収録は一人ずつだけど、気分はちゃんとセリフを掛け合っていますよ)。ゲームオリジナルの宍戸の画も素敵でした!ありがとうございました!

最後に、僕が最も感謝しているのは、これまで僕を支えてくださった皆さんと原作の許斐先生です。ほとんどの方がアニプリの宍戸を通して、楠田のことを知ってくださり、こうして僕の文章を読んでくださったり、お手紙やプレゼントをくださったり、舞台・イベント・ライヴなどに何度も足を運んでくださったり・・・・本当にありがたくて、この気持ちを言葉にするのはとても困難なくらい、感謝しています。だから言葉だけじゃなくて、作品という形として、皆さんの手元に僕の気持ちを届けられたらいいなと思っています。あるいはもっと楠田を身近に感じてもらえるような、そんな出会いの機会も作っていけたらいいなと思っています。

僕がこうして「テニスの王子様」のことを書けるのは、原作者である許斐先生が宍戸を描いてくださったからです。すべての生みの親は許斐先生です。宍戸を通して皆さんと出会えたのも許斐先生のおかげです。心から感謝しています。今でも鮮明に思い出します。2002年9月30日、寿司テニス部で初めて許斐先生にお会いした日のこと。宍戸としては、まだ数回しかアニメに登場していなくて、あの髪を切ってレギュラー復帰を懇願した話(第54話)の収録の4日後でした。初めて許斐先生に挨拶させて頂いて、お寿司屋さんではサインまでお願いしてしまいました。そのために持参していったコミックス第1巻に「是非宍戸を描いてください!」・・・・今思うとなんて不躾な!とかなり恐縮してしまうのですが、許斐先生は嫌な顔一つせず快く引き受けてくださって、お寿司を食べず、お酒も飲まず、やはり下書き無しは非常に難しかったらしいのですが、10分くらいかけて真剣に描いてくださいました。そして「頑張って!」といって力強く握手してくださって。だからなんです、僕がここまで宍戸に打ちこむことが出来たのは。許斐先生のキャラクター一人一人をとても大切に思っていらっしゃる気持ちがビンビン伝わってきたから、僕もその想いを受け継いで、絶対に恥ずかしくない演技をしなくては!とこの時に心に誓ったんです。

その2週間後から数ヶ月間に及ぶ関東大会の収録では、未熟ながらも全力で宍戸を演じさせて頂きました。しかしその当時、正直言って苦しかったです。収録には少しずつ慣れてきているとはいえ、多くの先輩方を背に喋るというのは、どうしても緊張が先に立ってしまって、そういう雑念無く純粋に宍戸の気持ちだけで演じられるようになったのは、もっと先のことです。収録時の感覚とオンエアの演技を聴き比べて感じた両者のギャップを早く埋めるために、何度もオンエアをチェックしました。原作では氷帝メンバーは関東大会後はほとんど描かれていませんから、アニメオリジナル部分では、原作以外の宍戸の日常とか育ってきた環境とか、人格を形成するあらゆる要因を想像してみたり。結局それを3年近くやってきて、いつの間にか、自分の言葉と同じように宍戸の言葉が出てくるようになっていて・・・・。多分、皆川さん始め、他の役者さんも同じなのではないでしょうか。だからイベントやラジオでも、キャラクターとして普通に喋ることが出来るんですね。これって、役者にとって、本当に幸せなことだと思います。そんな役に巡り会えたことが、何よりの宝です。許斐先生、本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくお願いします!「テニスの王子様」、そして宍戸亮は、声優楠田敏之にとっての原点なのです。


許斐先生、ありがとうございました!


さて、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。長きに渡って語ってきたアニメ「テニスの王子様」ですが、そろそろ締めたいと思います。といっても、僕はアニメはまだまだ続くと信じていますし、これはただの節目としか思っていません。だから期待を込めて、締めくくりたいと思います。


今まで応援してくれて、どうもありがとよ! また会おうぜ! (by 宍戸 亮)



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