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ご無沙汰です! 加筆しました) 2004年08月12日(木)

毎日暑いですね〜!まずは、

暑中お見舞い申し上げます。

え〜本来、暑中見舞いは梅雨明けしたら解禁(!?)だそうなので、まぁいまさらな感じもする訳ですが、そういえばまだご挨拶していなかったと思いまして・・・・遅くなりました!(笑)

前回の更新から20日も経ってしまいました・・・。ご心配お掛けしました。本当にゴメンなさい。なんとか8月3日(火)に更新しようと思って少し書き始めたのですが、完成を見ることなくお蔵入りしてしまいました。原因は睡魔に襲われたからです、確か。なんだかこのところ色々とやることが多くて、帰宅するとぐったりしてしまい、パソコンに向かいながら何時間も寝てしまう事が度々あったりして・・・。

その中の一つが10月の
KeKKe FESTAの準備な訳ですが。ようやく形が見えてきましたよ!盛りだくさんの内容で楽しんで頂こうと頑張ってます!当日いらっしゃるお客様とも触れ合えるような、そんな企画も考えてますので、どうぞお楽しみに!当日限定販売のグッズも試行錯誤しつつ一生懸命考えています。やっぱり普段愛用してもらえるようなデザインがいいな、と思いながらもあんまり無難なのよりちょっとはインパクトが欲しいな、とかいろいろ悩みつつ・・・・・楽しんでます!(笑)


さて、行ってきました!松濤アクターズギムナジウム(SAG)の出張ワークショップ。これは以前7月17日の小部屋に書いた通り、夏恒例の言うなれば地方体験レッスンです。約3時間なのでさわり程度ではありますが、役者を目指して上京したいと思っている方に、実際のレッスンの雰囲気を体験してもらおうという企画ですね。僕は7月24日の札幌と8月1日の大阪に参加しましたが、とても楽しく、また新鮮な気持ちになった2日間でした!


まず札幌ですが、涼しかったですね〜!10時半に新千歳空港に着いた時、気温は24℃でした。まぁ、日中は30℃まで上昇したそうですが、それでもレッスンが終わった16時過ぎにはすっかり涼しくなっていて、近くのホテルの庭でやっていたビアガーデンにどれほど吸い込まれそうになったことか!(笑)ってレッスンと全然関係ない話じゃん!

それでは本題へ。集まってくださった生徒さんは18名。講師はSAG講師の石原 凡先生
(昨年6月の「ボタン工場の羊少女メー」で共演させて頂きました。)でした。軽くラジオ体操(なぜか楠田がみんなの前に立って・・・ピアノ伴奏が無いから自分で歌いながら・・・あ、でも生徒さんも歌ってくれましたね、ありがとう!)をして体をほぐしてから、まずはシアターゲームをしました。

今回のシアターゲームは、ボール
(タオルを丸めたもので代用)を各自が持って円形となり、「せーの!」で一斉に右隣の人に投げ上げる。投げた瞬間左隣の人からボールが来るので受け取る。そしてまた右隣の人に投げて、受け取る、の繰り返しです。僕も一緒にやりましたよ!久しぶりにやったのですが、楽しかったです。左回りのパス10回の後、今度は右回りで10回。逆回転に切り替えるのがかなり難しいんだけど、何度も挑戦していくうちに、みんなで息を合わせる事や集中する事を覚え、「これで最後だから」と言われたラストチャンスでようやくクリアしました!このときに生まれる一体感が僕は好きなんです。これは芝居にとって非常に重要な要素なんですね。様々なシアターゲームを通して役者たちは共演者を知ることが出来、またチームワークを養っていく訳です。

楠田も役者になってからの体験談とか、役を演じるに当たって思うことなんかを10分くらいだったかな、語らせて頂いて、その後は基礎的な発声と滑舌練習をして、いよいよ「アニメ台本に挑戦!」のコーナーです!(笑)
いやいや、そんなバラエティ調じゃないから!
石原先生が用意してくださった2種類の某アニメ台本のうちどちらかを、生徒さんの年齢等に合わせてやって頂きました。もちろん楠田もオール参加です!3人ずつ前に出て、30分アニメの1〜2分間を抜粋したセリフを喋る訳ですが、みんな初めての経験なのか緊張が痛いくらいに伝わってきました。でも、みんなの一生懸命さに隣で演じていてとても感動しました。ひたむきな姿って、いいですね!

そうだ、これ絶対書こうと思ってたんだった。実はアニメ台本をやる前に楠田は「外郎売り
(ういろううり)」をやりました。「外郎売り」っていうのは、ほとんどすべての役者・アナウンサーなど喋る仕事をする人が一度は経験したことのある練習教材です。が、もともとは歌舞伎のセリフなんですね。外郎(ういろう)、別名透頂香(とうちんこう)という名の薬の売り口上で、特に後半は舌がよく回るというこの薬の効能の通り、早口言葉の連続です。全部で約3分間のセリフなのですが、初めて読むと倍以上かかります。ご興味のある方は検索して挑戦してみてください!さすがにタイプするのは辛過ぎるのでご勘弁を!(笑)

で、この「外郎売り」を石原さんが当日の朝、羽田空港で「やれるよな?」と、のたまわれましてね・・・・せめて前日に言って頂ければ・・・・な気持ちだったのですよ。まぁ、結果は惨憺たるモノでした。石原さんが用意してくださった台本を中途半端に見たり見なかったりしたのも敗因かな。この「外郎売り」はあまりに有名すぎて、いろんなトレーニングブックに掲載されていまして、その日の台本は僕の慣れ親しんだいつもの台本と微妙に漢字の読みとか語尾が違ったんですよ。で、余計混乱してしまって・・・。
ま、言い訳にしか聴こえませんね。

これじゃあ説得力の足しにもならないと思いつつ、悪い見本ってことで許してもらいました(笑)。しかしですね、実は僕はものすごい悔しがり屋なのです。
あ、既に気づいてました!?帰りの飛行機の中とか電車の中でもブツブツとやっていてもちろん小声でね!、その甲斐あってか帰宅した時には、あの場でやっても恥ずかしくないであろう位にはそこそこ演じられるように・・・。遅いって!!あぁ、せめて前日に言って欲しかった・・・・・。普段も収録や芝居の稽古の前には自宅で1回やってから出掛けるんですよ。声の調子を測るために。でも暗唱はしてないんです。で、なぜこれほどまでに悔しがるかというとですね、この「外郎売り」には特別な思い入れがあるからなんです。それを語りだすと長いので、今日は止めときましょう。ちなみに、その日から毎日「外郎売り」をやってます。いつまた言われるか分からないですからね!(笑)

そうそう!ワークショップが終わって帰りの飛行機の時間まで1時間ほど余裕があったので、札幌駅前の大丸百貨店のレストラン街で海鮮丼を食べました!むちゃくちゃ美味しかったです!!いいなぁ北海道〜
お昼に食べたパンプキン・グラタンとパンプキン・スープも、熱かったけど美味しかった!


札幌がかなり長くなってしまいましたので、大阪は短めにいきましょう!(笑)行きの「のぞみ」は快適でした。ってまたそういう話かい!途中、僕の母校(高校)がよく見えるんですよ。だから新幹線に乗ると必ず眺めていて、「あの辺りで毎日楽器吹いてたなぁ」とかつい高校時代を懐かしんでしまいます。

さて、本題。大阪の生徒さんは21名。男子も2名いて心強かったです!講師はSAG講師の宮澤 正先生
(昨年11月の「無頼の女房」で共演させて頂きました。)でした。まず、セリフにおける7つの要素について講義されました。それから生徒さんによる自己紹介。もちろん楠田もちょっと自己紹介しましたよ。宍戸を通して楠田のことを知っているという方もいて、正直ものすごくほっとしました。誰にも知られていなかったらあまりに寂しすぎる・・・。(札幌でも知っているという方が多くて嬉しかったですよ!)。今回参加してくださった皆さん、というか既に養成所に通っている方も多分そうなのでしょうが、必ずしも役者になりたいという方だけではないんですね、という事を知りました。人前でもうまく喋れるようになりたいとか、人とのコミュニケーションがうまく出来るようになりたいとか、朗読を趣味としてやっていきたいとか、自分を変えたいとか、いわゆる自己啓発的な意味で何かを得たいと思っている方も結構いらして驚きました。

その後は発声練習、滑舌練習のほか、さっき宮澤先生がお話された7つの要素を個々に実践していきました。そして最後にそれらすべてを踏まえて「朗読劇に挑戦〜!」のコーナーです!
だからっ・・・!!

5人一組で、時間の関係で一人1文ずつでしたが、ナレーションの難しさを感じて頂けたんじゃないでしょうか。僕は最後の組で挑戦させて頂いたのですが、なんと!思いっきり噛みました!(笑笑笑)ありえないです!!でもそんなことで落ち込んでいてはいけません。噛むことなんかよりもっと大切なことがあります。ナレーターの「気持ち」です。「その辺、分かってもらえたかな〜?」とちょっと心配になりつつも、一人ずつ自己反省のコメントの時には「完璧でした!!!」と思いっきり答えるあたり、僕にも役者のプライドがあるのだなと思った次第で御座候・・・・・。

ちなみに大阪のワークショップは予定時間を30分オーバーしたため、帰りの新幹線の時間がギリッギリでした!ホームに駆け上がったとたん新幹線が入ってきたという、まさに綱渡り状態で。だから大阪ではお昼のお寿司しか食べられませんでした。
お店でちょっとしたハプニングがありましたが、お寿司は美味しかったです!次回来る楽しみを残した感じで、これはこれで良かったのかも!(笑)


という訳で、駆け足で2日間を振り返ってみました。参加なさった皆さん、お疲れ様でした。皆さんにとってどのような経験になりましたか?何か得たモノはありましたか?僕にとっては本当に貴重な経験をさせて頂いた今回の出張ワークショップでした。このようなワークショップに参加させて頂いたのが初めてだったこともあって、すべてが新鮮で、立場が違うとこうも感じ方が変わるものなんだと、身を持って実感することが出来ました。また、僕が養成所に通い始めた頃、つまり約4年前の自分の気持ちを思い出すことが出来ました。あの頃は何も恐いモノが無くて、すべてのことに全力で体当たりしていました・・・・・やっぱり書いちゃおうかな・・・・「外郎売り」のこと。ちょうどいい機会だしね。


2000年4月、養成所に入って初めてのレッスンの日に講師の先生に言われたんです。この養成所では7月に査定があって、その結果次第では10月からの後期のクラスが変わる、つまり基礎6クラス・実践2クラス・選抜2クラスというピラミッド構造のクラス編成の中で上下移動がある、ということです。課題は「外郎売り」。

演技の「え」の字も知らない僕でしたが、これが最初の突破口だと思って頑張りました。「外郎売り」を毎日5〜10回、3ヶ月間やり続けました。「え、そんなに!」と驚かれる方もいらっしゃると思いますが、実はまったく苦ではありませんでした。むしろ楽しくて楽しくて仕方なかったんです。最初の1週間でなんとか暗記して、それからは毎日毎日繰り返しやっていくうちに3分間のセリフが体に染み付いてしまうんですね。街を歩いているときや車を運転しているときも四六時中喋り続けました。
街ではもちろん小声で、車の中では大声で!でも渋滞中は周囲から変な目で見られたような・・・?あとはカラオケBOXも思いっきり大声が出せていいですね。昼間は安いし!2ヶ月もすると、新聞を普通に読んでいても、口では「外郎売り」を喋れるくらい体が覚えてしまっていました。

そんなこんなで7月の査定を迎えました。数百人の生徒が一人ずつ呼ばれて講師の先生方の前で「外郎売り」
あるいはもう一つ別の課題(シェークスピア作品だったかな?)のどちらかを演じて、戻ってきます。どうやら3分の1とか半分くらいで止められてしまうらしい、と控え室で聞き、緊張感が高まります。でも自分に出来ることはやってきたし、今さら何もやることはないし、「ただ思いっきり楽しく演じるだけだ。」と緊張している自分に言い聞かせ、その時を待ちました。

そしていよいよ僕の番です。クラスと名前を言って、いざ!

この続きは、また来週〜!
ってウソですよウソ!(笑)「拙者、親方と申すは、ご存知のお方も御座りましょうが・・・・・・」って感じで始まりました。3分の1を過ぎ、半分を過ぎても止められない。演じながら「あれ?まだ止められない?よし!行けるところまで行ってやれ!!」と思った瞬間、自分の体の中から何かが湧き上がって来るのが分かりました。なんていうか、ものすごく不思議な感覚です。ふわっと体が軽くなったような。そこから先は体も口も自分の物とは思えない感じに勝手に動いてくれて・・・・・気付いたらすべてが終わっていました。そして講師陣のお一人である難波さんから「どうもありがとう。」と言われ、「ありがとうございました!!」と挨拶して部屋を出ました。そのときは多分ちょっとした放心状態だったと思います。


とにかくこれが今の役者としての僕のまさに出発点だったわけです。ただただ必死でした。役者としての知識が何もないから、目の前にあるモノを一生懸命やることだけが、そしてその先には必ず結果が出ると信じることだけが、唯一自分を支える拠り所でした。

そういう経験って誰にでもあると思うのです。余計なことは考えずに、一心不乱になって何かに打ち込むこと。それは仕事や勉強だけじゃなくて、スポーツや遊びや趣味をしている時かもしれない。とにかく結果(や成果)を出したい!って思いだけで、無我夢中になる。僕はそういう何か目標に向かって突き進むことって本当に素晴らしいことだと思うし、人にとってとても大切なことだと思います。そして結果が出せるまで諦めずにそのモチベーションを保っていくこと。その精神力の強さというか粘り強さが、時として体力の限界をも超越して頑張らせてくれる。それはすべて夢をかなえるため。

中学3年の時の担任の先生が高校受験を控えた僕たちに毎日のように言ってくれた言葉があります。「
たゆまぬ努力」。そして「寸暇を惜しんで勉強しなさい」と。当時は勉強を好きだとは思えなかったのでほとんど強制的に勉強させられていましたが、いま本当に好きなことをやれる立場になってもそういう努力が出来ているのか、と問われると、正直自信がありません。役者の勉強というのはイコール人生経験(あるいは日常)とも言えますので、特にまとまった時間がなくても、街に買い物に出掛けたついでに人物観察したり、暑さや寒さの下で五感を記憶したり出来ますし、家でテレビを見ていても番組と番組のちょっとの間で滑舌の練習をしたり、番組中のナレーションを真似してみたりも出来ます。そういう材料や寸暇というのは実は日常生活に溢れていて、それを意識して効率的に活用し吸収出来るかが、成否の分かれ目なのではないかと思います。

「たゆまぬ努力」・・・この言葉はそれ以降、常に自分の頭の片隅にあって、壁にぶち当たったり、不安になったりする度に思い出していました。そして「何でもいいからやってやれ!」といろんなことに正面から体当たりしていました。最近の自分に欠けているモノは、多分そういう気持ちじゃないのかな、と、今回のワークショップに参加して初心を思い出したら、反省せずにはいられなくなりました。


「外郎売り」のエピソードからワークショップの話題に戻ってきたところで、今回の小部屋はこの辺で失礼します。いつもすみません、自分のことばっかり好き勝手に語ってしまって。もうちょっと気の利いた話題が書ければいいのですが、どうもそういう文才はないようで・・・・。そんな小部屋を読んでくださる皆さんは本当に寛大な方なのだと、いつも有難く思っています。その優しさに甘えてしまっている自分はいけないな、と思いつつも・・・。

それからたくさんの暑中見舞いのお手紙&お葉書を頂きました。どうもありがとうござました。僕は頂いたお手紙は必ず数回繰り返し読ませて頂いています。なかなか返事を出せなくて、それがいつも気に掛かっているのですが、皆さんからのお手紙にとても励まされています。

まだまだ暑い夏が続くようですが、体に気をつけて、元気に夏を乗り切りましょう!!



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